TCFDとは、G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)*により、気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討するため、マイケル・ブルームバーグ氏を委員長として設立された「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」を指します。
*各国の金融関連省庁及び中央銀行からなり、国際金融に関する監督業務を行う機関
引用元:TCFD Consortium(https://tcfd-consortium.jp/)
TCFD提言への取り組み
建設業は施工時の資材投入、建設物運用時のエネルギー使用、解体時の廃棄物の排出などさまざまな環境への影響を与える業種であり、当社としても地球環境問題への対応を経営の重要課題(マテリアリティ)の一つと認識しています。
これらのうち重要なテーマの一つである気候変動への対応については、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づき気候変動による事業への影響を分析し、それらに適切に対処するために取り組むとともに、情報開示を進めています。
持続可能な社会の実現に向け、これらの取り組みを今後より一層充実させてまいります。
ガバナンス・リスク管理
当社では、気候変動対応への取り組みに対応するため、「TCFD委員会」を設置しています。
TCFD委員会は、執行役員を委員長として関係各部門が参画する全社横断的な組織で、気候関連リスク・機会の評価・マネジメントを含む気候関連事項全般について検討を行います。重要事項は執行役員会議及び取締役会に付議・報告し、必要に応じて指示・助言を受け、取り組みに反映させていきます。
ガバナンス・リスク管理体制図
取締役会
- 気候関連事項の重要な意思決定(事業戦略の決議等)
- 目標と実績の進捗監視
指示・助言
付議・報告
(年2回)
執行役員会議
- 気候関連事項の評価・マネジメント
- 目標と実績の進捗監視
指示・助言
付議・報告
(年2回)
TCFD委員会
委員長:執行役員
- 気候変動問題が社会と企業に与えるリスク・機会の分析・
影響の評価・対応策立案など
方針・企画等の
提示、情報共有
報告
全社関係部署
- 具体的施策の検討・実施
戦略
シナリオ分析の前提条件・進め方
TCFD提言では、2℃以下シナリオを含む複数のシナリオに基づく検討を行なうことを求めています。当社の主要な事業である内線事業及び再エネ事業について、TCFDプロジェクトチーム(現TCFD委員会)にて関係部門が参画し、気候関連リスク・機会を特定し、外部シナリオを用いて2030年時点を想定した事業インパクトを分析し、対応策を検討しました。
対象範囲 | 東光電気工事株式会社における内線事業・再エネ事業 |
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対象時間軸 | 2030年 |
主な参照シナリオ | 2℃シナリオ…IEA APS(Announced Pledges Scenario)、IPCC RCP2.6 4℃シナリオ…IEA STEPS(Stated Policies Scenario)、IPCC RCP8.5 |
上記のシナリオを踏まえ、当社をとりまく2030年の世界観を下図のようにイメージしました。
2℃シナリオの世界観のイメージ
4℃シナリオの世界観のイメージ
対象事業における気候関連リスク・機会を抽出し、事業への影響の大きさと発生の可能性から重要度を評価し、重要度の高いものを当社としての重要なリスク・機会と決定しました。
この重要なリスク・機会について、事業へのインパクト(財務的影響額等)を分析し、影響が大きいものから優先的にその対応策の方向性を検討しました。

重要なリスク・機会と主な対応策

※短期:~2025年/中期:~2030年/長期:2050年
シナリオ分析結果と対応策
シナリオ分析の結果、機会は、全世界の脱炭素化に向けたメガトレンド、政府のエネルギー政策による再エネ拡大、防災・減災・災害復旧工事での社会貢献のインパクトが大きい結果となり、対応策として、再エネ事業の戦略の見直しや長期目線での人材獲得・教育研修の必要性が認識されました。
リスクは、炭素税・EVなど環境対策とコスト増加、災害激甚化による想定外の損失・補償、労働環境悪化・生産性低下とその対策などのインパクトが大きい結果となり、対応策としては労働環境改革・現場魅力向上、顧客との合意・機能分散などリスク管理の必要性が認識されました。


今後は、シナリオ分析の対象範囲の拡大(対象事業の拡大、連結グループ全体への拡大)を行うとともに、シナリオ分析の結果について、2050年カーボンニュートラルの達成に向けた移行計画(ロードマップ)の策定や次期中期計画に反映できるよう、具体的な検討を進めています。
指標と目標
温室効果ガス排出量削減目標と削減実績
事業活動に伴うGHG排出量(Scope1,2を対象)を、2030年度までに2021年度比40%削減、
2050年度までにカーボンニュートラルの実現を目指します。
Scope3におけるGHG排出量削減については、サプライヤーとの連携を強化して削減に努めます。
※Scope1:事業者自ら直接排出する温室効果ガス(自動車、ボイラ、冷温水発生機等)
Scope2:他社から供給を受けた電気、熱等の使用に伴う間接的に排出する温室効果ガス
Scope3:Scope1、Scope2以外の温室効果ガス間接排出(事業活動に伴う他社の排出分)

当社における温室効果ガス削減目標
基準年度 | 2021年度 |
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対象 | 東光電気工事単体 Scope1、Scope2 |
2030年 | ▲40% |
2050年 | カーボンニュートラル |
対象について、開示対象範囲の拡大に向け取り組んでまいります。
当社における温室効果ガス削減実績(単位:t-CO2)
Scope1 | |
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2021年 | 3,363 |
2022年 | 3,167 |
Scope2 | |
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2021年 | 1,672 |
2022年 | 1,148 |
合計排出量 | |
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2021年 | 5,035 |
2022年 | 4,315 |
削減率 | |
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2021年 | ー |
2022年 | ▲ 14.3% |
今後はScope3を含めた開示対象範囲の拡大に向け取り組んでまいります。
削減施策
具体的な削減対策は次のとおりです。
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環境付加価値証書の活用
- 一般電気事業者の再エネメニューへの切替
- 自社が保有している再エネ発電所をトラッキングした非化石証書購入によるオフセット
- 再エネ電源新規開発の推進
- 現場事務所等のLED化推進
- 長期に使用する工事現場事務所のZEB化を検討
- 工事現場の発電機にバイオ燃料の採用を検討
- 燃料促進剤(KS-1)の採用
- 保有不動産改修時の省エネ化、建替え時のZEB化を検討
- HV車・EV車への切り替え推進(リース期間満了後)